2011年2月17日木曜日

よだかの星の続き

(それにああ、今度は市蔵だなんて、首へふだをかけるなんて、つらい話だなあ。)
よだかは考えた。殺してと言ったときに殺さなかったってことは、一体鷹は本当によだかを殺せる勇気があるのだろうか。
「死んだほうがましだ・・・」
と、よだかは思い、殺しに来るまで待つことにした。
よだかは生きる最後の二日間だと思い思う存分遊んだ。食べれるだけ食べ、飛び回り、耳に痛い声で歌い、前にできなかったことをした。人生に悔いが残らないようにやりたいことを全部した。
二日があっという間にたち、よだかは死を覚悟して一番高い木まで飛んだ。
だが鷹はなかなか来ない。数時間後、やっと鷹の姿が見えた。
「何で名札をしてないんだ!?」
「するもんか。死ぬ覚悟で来た。早く殺してくれ。」
「なんでそんなに死にたいんだ?」
「生きてる意味なんてないじゃないか。お前の言うことなんか聞くもんか。おれの名はおれの名だ。」
「くそ、しぶといやつだ。っち。や~めた。もう面白くない。じゃーな。おれの前に一生現れるな。」
よだかは呆然としていた。
よだかは住むところを変えることにして、一生鷹に会うことはなかった。
めでたし、めでたし。

1 件のコメント:

  1. おお!潔(いさぎよ)いよだかですね!

    「一体鷹は本当によだかを殺せる勇気があるのだろうか」とクールに相手をみる余裕(よゆう)もあるし。

    死ぬ覚悟をして堂々(どうどう)としているところが、なんだかお侍(さむらい)さんみたいです。

    男らしくてカッコイイぞ。

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